2019.7/10-11(水/木) 被災地の現状と復興状況について
2019/07/12 12時
2019.7/10-11(水/木)
被災地の現状と復興状況について
全国若手市議会議員の会 東北ブロックの研修は、福島県双葉郡富岡町にて実施されました。(以下長文です)
主に帰還困難区域の現地視察と放射性物質による汚染廃棄物の処分事業について学びえましたが以下概要となります。震災から8年以上経過していますが『万が一』が起こればどれほど甚大な負担を後世に残すのか体験から知ることが出来ました。
===ここから===
富岡町の概要:
人口16000人の浜通りの中間拠点として官公庁が多く点在した町。福島県内でも数少ない人口増加自治体であった。事故のあった福島第一原発とは約10km強はなれている。
1号機3号機の水素爆発後、警戒区域となっていたが、解除後は50mSv/年を超える区域を帰還困難区域となり町の面積の15%にあたる10km2が指定された。人口では30%にあたる4800人に影響が及んだ。※参考:居住制限区域(20mSv/年〜50mSv/年)は34km2、9800人が該当している。
その後2019年4月に居住制限区域が解除となったが、いまが帰還困難区域の復旧の見込みはほど遠い。
・帰還困難区域へ
帰還困難区域へは写真付き身分証の確認が必要で関係機関へ事前申し込みが必要であった。区域内は避難当時の車両や家屋がそのままとなっている地域が多く異様な雰囲気であった。
区域内の家屋は順次解体が進められており解体希望家屋のすべての処理が終わるのはまだまだ相当な年月を要する見込みとのこと。建物所有者は除染処理をしていずれ住むことも可能であるが除染解体する方がほとんどとのことであった。
・汚染廃棄物の仮置場・処分場
道中、黒い包みやグリーンのシートを見かけることが多かったが、いわゆる汚染廃棄物を入れる袋と袋の劣化を防ぐシートであった。この黒い袋は一旦仮置場に集められ、その後焼却した廃棄物と、焼却の際に発生した飛灰はセメント固形化され、それぞれ電子タグによって管理される。各収納容器はGPSで管理された輸送トラックにより積荷の濃度検査等を経て処分場へ埋め立てられる。処分場では漏水の恐れも考慮し各地点で念入りなモニタリング(線量測定)が行われていた。
・町民の居住等状況
現在は約1000人ほどが町内に居住し、およそ半数が工事関係者である。町外では周辺都市を中心にいわき市、郡山市などに約8000人が居住している。アンケートでは7割近くが「戻らない」または「戻りたいが戻れない」と回答している。また町内外とわず震災後、世帯が分散している家庭が約半数となっている。さらに震災後に無職となっている割合は各年代とも2~5倍程度となっており、その背景には再就職の困難や補償金に絡む事情がありそうだとのことであった。
・農地
視察先が近づくにつれて違和感を覚えた景色が田畑である。この時期はどの地域でもみられるような青々とした水田はなく、雑草が生い茂っていた。一部線量が落ち着いた地区では小規模で生産が始まったと伺った。
・生活圏
震災で一部損傷したショッピングセンターを町が主導で再建し、スーパーやドラッグストア、イートインの入居にこぎつけた。食事処も少なく、コンビニやガソリンスタンドもようやく数箇所営業している状況であった。消防署は帰還困難区域にあったため、区域外にあらたに設置されている。
・所感
原発事故によるその後の後始末がいかに大変か改めてその一部を目にすることが出来、原発によるリスクを考慮すると即時停止、他の代替エネルギーに早期に意向すべきと感じる。
町の再生については、生活圏を再構築するには困難であり、いま多額の費用を投じてインフラ整備をすすめていくことが適当であるかは判断つかなかった。また各地で見られた大量の黒袋は政治家に対する警告であるとも感じた。エネルギーの受益と負担を我々の住む地にあてはめて判断する責任がある。