痔のジオン注による注射療法について
2021/04/13 11時
痔について
痔は日本人の3人に1人がかかっているといわれる身近な病気です。痔は大きくわけて、腫れる「痔核(いぼ痔)」、切れる「裂肛(切れ痔)」、膿が出てくる「痔瘻(あな痔)」に分けられ、痔核はさらに内痔核、
外痔核に分けられます。
治療法
当院で行っている治療には、薬物療法、手術療法、注射療法があります。今回は注射療法を中心にお話していきます。
薬物療法・・軟膏、座薬、内服薬があり、抗炎症、止血作用があります。初期の痔に対して行います。
手術療法・・薬物療法に反応しない痔核、裂肛、痔瘻に対して行われます。根治性はありますが、ある程度の
入院期間を要します。
注射療法・・普段から脱出している、排便時に出てくるような内痔核、いわゆる脱肛に対してジオンという
お薬を注射し、痔に流れ込む血液を減らします。内痔核がだんだん小さくなり、引き伸ばされて
いた支持組織が元の位置に固定されて、脱出がみられなくなります。(1週間から1ヶ月かけて)
ジオン注射とは
硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を有効成分とする治療薬で痔に流れ込む血液の量を減らし、痔を硬くして粘膜に癒着・固定させる治療法です。内痔核に対して適応となります。
投与法
肛門周囲へ局所麻酔を行った後、内痔核へジオン注を注入します。1つの内痔核を4か所に分けて注射します。内痔核の大きさ、数にもよりますが、手技は15分程度で終了します。
メリット
手術療法と比べ大きな痛みもなく、1泊2日の入院でできます。日帰りで行う施設ありますが、術後安静で4時間程度必要とすること、何か合併症が起きた場合迅速に対応できることから、安全面を考慮し当院では1泊2日の入院で行っています。翌日の朝に創部を確認して問題なければ退院です。
デメリット
2005年から始まった比較的新しい治療法であり、再発率、長期の合併症が不明なところがあります。
手術療法と比べ再発率が高いと言われています。
大きな内痔核に対しては手術療法の方が良い場合があります。
さいごに
ジオン注による注射療法は患者さんの負担も小さく済み、脱肛(内痔核)に対してとても有用な治療法です。脱肛は大きくなりすぎると手術療法が必要になります。軟膏で良くならない脱肛は早めに消化器外科へご相談ください。